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野球小説「遊撃」

2009年02月24日 21:48

高橋三千綱
遊撃 (『カムバック』収録pp.60-87)
新潮文庫、1988年

 物語の展開は大学野球~プロ野球まで。
最初の舞台は城東大学野球部。

 成宮和夫 … 主人公。
 榊原 … 和夫と同郷。また、寮でも同室。
 小野 … 大学野球部の先輩。後に横浜ホエールズ入団。

 A~Eの5つに分かれる大学リーグ。城東大学はAクラスの常連だった。
和夫は高校の先輩に勧められるままに城東大学に進み、野球部に入部。
 しかしそこでは、壮絶なレギュラー争い、
そして上級生からの過酷なシゴキがあった。

 和夫にとって大学野球は地獄であったが、
情熱を失うことなく、社会人野球を経てスワローズに入団する。
 入団2年目の開幕7戦目、和夫はとうとうスタメンに座る。
相手は横浜ホエールズ、若きエース小野

ネタばれポリシー
「榊原、いくぞ!」

【読んだフリ! ストーリー斜め読み】

1. 名門、城東大学
 十数年来Aクラスの城東大学。
 リーグだけではなく、城東大学の寮もA~Eにクラス分けされてます。
和夫はスカウト組ではないので、DかE棟にいるようです。
 同室になった榊原和夫と同じく北海道出身。
札幌大会で見た和夫の能力を、榊原は高く評価してくれます。

 しかし、所詮二人はD、E棟の人間。
練習が始まったら打撃練習は一人3球。守備練習も早い者勝ち。
 練習量の少なさに和夫、脾肉の嘆。

 最初のセレクションで評価されないものはまともな練習が受けられない。
この野球部の設定はリアル?
 多くの原石を飼殺しにしている城東大学がAクラスの常連とは。
 まあ、部員多いんだからしかたないんですけどね。

 ちなみにここで、捕手志望の榊原が三年のレギュラーの陰口を叩きます。
ここは個人的にものすごい重要なポイントだと思います。
 何気なく書かれてますが、榊原の気の強さを表し、後の…。


2. 先輩によるリンチ
 週に何回か、3年からの呼び出しがあります。
皆が皆、サド野郎ではないのですが、特に小野などは喜んで虐めます。
 この日、和夫榊原と同室の山内という一年生が、殴られ
「口を切った」と泣き言を漏らしてしまったため、小野たちの怒りに触れ
さらに執拗にリンチを加えられてしまいます。
 そして小野は、隣にいた榊原に木刀で山内を殴ることを強要します。
 榊原は拒絶しますが、そのことで小野の怒りの矛先が榊原に向けられ、
凄惨なリンチを受けてしまいます。

 二日後、榊原は死にました。

 相撲部屋の「かわいがり」が現実世界で問題になりましたが、
そこで見られるような人間の狂気が書かれています。
 榊原の死で一時はおさまったリンチも、しばらくすると元通り。


3. 天狗
 4年になった小野はすでに、プロから誘われる存在に。
夏休み前にグラウンドに現れた彼は、連日の酒で頬をゆるませていた。
 「名前は」
 「な、成宮和夫です」
 「けっ、汚ねえ名前だな」
などの会話を経て、小野はバッティング投手を買って出ます。
 一球目、和夫にライナー性のホームランを打たれると、
表情が変わり、二球目に頭部を掠める球、そして倒れこんだ和夫
スパイクで蹴りつけます。

 汚ねえ名前ってなんでしょうね。
成宮寛貴ファンにリンチされてしまえばいいんだ、小野。
 ちなみに和夫は転倒したときに骨折。


4. 入院生活
 転倒した際、バットが下になったため、骨折。
 それとともに心も折れてしまった和夫と同室になったのは、
癌患者の少年と胆嚢炎の老人でした。
 少年は亡くなってしまうのですが、
明るい彼らに救われ、再び野球を続ける決意をします。

5. 城東大学の闇
 小野も卒業し、3年ということで練習時間も確保できた和夫でしたが、
練習でいくらアピールしても試合に出られません。
 そんな中、和夫とショートを争う二人の親が、
監督に莫大な裏金を渡していることを知るに至ります。

6. 社会人野球
 北海パルプという企業に就職した和夫は、ようやく野球ができます。
 いつしか北海パルプに成宮ありと、評判をモノにした和夫は、
2年後の秋、東京スワローズにドラフト外入団します。

7. 遊撃
 スワローズに入団後2年目。
 開幕7戦目でスタメンに選ばれた和夫は、
横浜ホエールズと対戦することになります。
 先発の小野相手に、ヒット、ヒットと好調で迎えた第3打席。
和夫はバッターボックスを外し、天を仰いで
「榊原、いくぞ!」
と怒鳴ります。

 そして運命の一球、小野の得意球、
シュートを和夫は痛烈に打ち返します。
 避け損なった小野は額に硬球を受け途中退場。

 試合後、記者が質問します。

 「先輩投手の額を打球が襲ったことをどう思いますか」
  「下手だったんですね」
 「下手?でも、彼は、再起不能になるかもしれないんですよ」
  「そうですね。でも、ぼくは遊撃ですから」

【感想】

 溜飲の下がる王道パターン。
 主人公を苦しめてきた悪党を成敗!

 ところで、ラストの「ぼくは遊撃ですから」発言について、
作者は記者が意味をよく呑み込めていない、と表現していますが、
それは私も同じこと。
 辞書的な意味では、あらかじめ攻撃する目標を定めず、
戦況に応じて敵の攻撃や味方の援護に回ること、
とあります。

 確かに和夫は第三打席、2回空振りします。
そこで小野の顔に冷笑が浮かぶのですが、
その次のシーンが打席を外しての「榊原、いくぞ!」。
 何を思ったのでしょうか。「冷笑」の表現は今まで特になかったような…。

 榊原を殴り殺したときも、高笑いをしますが、表情が違う。
和夫のバッティング投手を買って出たときもニヤニヤしてましたが…。

 この試合前に、激しい闘志と憤りを感じていた和夫ですから、
「遊撃ですから」は「狙ったんじゃないですよ」的な嘘?
 だとしても事情を知らない記者に言う必要はないですよね。

 謎のラストシーンです。


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